新着情報

2023.01.26

子どもが心配

 今回も本の紹介です。

 

「子どもが心配」 人として大事な三つの力 (PHP新書)

 著書「バカの壁」で有名な養老孟司さんが、現代の子供に対する教育について、児童精神科医の宮口幸治氏、小児科医の高橋孝雄氏、脳研究者の小泉英明氏。自由学園学園長の高橋和也氏の4人の識者と対談を行っています。 副題の「人として大事な三つの力」とは、「認知機能」・「共感する力」・「自分の頭で考える人になる」の三つだそうです。
 書籍の紹介記事から、養老さんを含め5人の方の主張を引用します。
 
 「『ああ、そうだったの。でもあなたにも問題があるんじゃないの?』みたいなことを言ったら、―発アウトです。子どもは自分の話を否定されたことで、大人が思っている以上に傷つきます」       
(宮口幸治)
 
 「私はかねてより、『親は自分の願望を子に託すな』と訴えています。『こういう教育をしてやれば、自分にはできなかったこんな夢が実現するのではないか』というような気持ちが強すぎる」       
(高橋孝雄)
 
 「幸せのポイントは『共感』能力、言い換えれば『温かい心』(Warm-heartedness)を育むことにある、それこそ子どもたちが幸せになるための教育の最終目標であると考えています」           
(小泉英明)
 
 「結果が自分に返ってくることばかり求めていると、自分の利益になることだけをしようという発想になります。自分を超える価値や理想に触れていくことが、未来の社会をつくる生徒たちが育つうえで大切だと、私は思っています」  
(高橋和也)
 
 「何もかも手に入るわけではないけれども、生きているだけで満足できる。そんな状況を、生まれてくる子どもたちに対してつくってあげないといけないでしょう。
何も難しいことではありません。親が子どもに対して『あなたたちが元気に飛び跳ねていてくれればいい』とさえ、願えばよいのです」
(養老孟司)
 
 個人的に最も面白かったのは高橋孝雄さんとの対談で、その中からいくつか内容をご紹介します。
 
・ネットの過剰使用がもたらす「実体験の減少」
 ネットの過剰使用の弊害は大きく、「無言化」、「孤立化」、「実体験の減少」の三点で、中でも三つ目の「実体験の減少」が最も危惧される。ネットでは、バーチャル空間でまるで本物のような体験を得るこてゃできても、現実世界での実体験は増えないどころか減っていくばかり。結果的に人間関係が「五感に頼らない、または五感がスポイルされたコミュニケーション」に埋め尽くされていくのではないか。
・ネットに頼ると「負け続ける育児」になる
 親たちが自分の育児に自信を無くし、「正しい育児」とはどういうものか、答えをネットに求める傾向がある。 その際に陥りやすい問題が、自分が実践している育児と比べて、少しだけレベルの高い方法に「正しさ」を求めがちだということ。 そうなると、どこまで行っても自分の育児より「少し正しい」育児を負い続けることになり、その結果、「負け続ける育児」になる。
・後悔したくない症候群
 親は、「こういう教育をしてやれば、自分にできなかったこんな夢が実現するのではないか」というような気持が強すぎる。 それは実は子供に後悔してほしいからではなく、親自身が後悔したくないからだろう。 これを、「後悔したくない症候群」と呼ぶ。
 
 子育てについての新しい視点が得られるかもしれません。 一度手にとってみられてはいかがでしょうか?

お電話でのお問い合わせ

秋山 深雪(あきやま みゆき)

ページトップへ