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2022.12.12

「家にテレビがない」という子は国語力が低い

ちょっとびっくりするような記事を見つけました。 テレビを見る子の方が見ない子よりも学力が高いというのです。 「テレビばかり見てないで勉強しなさい」とか、「テレビばかり見てるとバカになる」とかいわれてきた方も多いのではないかと思うのですが、 この記事によると、「テレビやインターネットは子育ての味方」なのだそうです。 興味のある方は下記のリンクからご覧になれます。

PRESIDENT Online 「家にテレビがない」という子は国語力が低い…塾講師が「子供にはテレビをどんどん見せて」と訴えるワケ
https://president.jp/articles/-/62787

なお、上記の記事は、塾講師の久松由理さんの "『国語の成績は観察力で必ず伸びる』(かんき出版)" に基づいています。 興味のある方はこちらもどうぞ。

さて、記事の内容を少し引用してみます。

 教室で、この子は語彙力がないな、ちょっと理解力に欠けるな~と感じる子に、「テレビを見ていますか?」と聞くと、返ってくる答えは大抵、「家にテレビがありません」「ほとんど見せてもらえません」のどちらかです。
 「教育に悪いから、子どもにはテレビを見せません」という方がときどきいらっしゃるのですが、私は、博学で賢い子を育てるために、テレビは欠かせないツールだと考えています。
 なぜなら、人は一度も見聞きしていないものについて、他人とイメージを共有することができないからです。見たこともない龍や天使の姿を、私たちがほぼ同じようにイメージできるのは、どこかで龍や天使の絵や像を見た経験があるからですよね。
 仮に、「チナルータ」という動物について想像してくださいと言われても、他人と同じ「チナルータ」を頭に思い描き、共通の認識を持つことはできないでしょう(チナルータは架空の動物です)。
 ということは、本や会話の中に、自分の「見聞きしたことのない事物」が出てくると、人はその文章や話の内容を、正しく深く理解することができなくなるということです。
 例えば、一度も時代劇を見たことのない子が歴史小説を読んでも、武士のいでたちや合戦の様子を想像することはできません。古い言葉遣いも聞いたことがないので、当然「古文」も苦手になります。
 また、刑事もののドラマを見たことのない子が推理小説を読んでも、指紋や足跡を採取する鑑識風景すら、想像することができないでしょう。
 要するに、いくら本を読ませても、良い授業を聞かせても、本に書いてあることや相手の語ることをお子さんが頭の中で映像化して、作家や教師とイメージを共有できないなら、その効果はないも同然なのです。

実際の学力の差についても、以下のように述べられています。

 米スタンフォード大学のマシュー・ゲンコウ教授らが行った、「子どもにテレビを見せると子どもの学力は下がるのか」という調査でも、幼少期にテレビを見ることができた家庭(一日平均3時間半と結構長めの視聴時間)と、見ることができなかった家庭の子どもの小学校入学後の偏差値は、テレビを視聴していた子どものほうが0.02高かったそうです。

まあ、偏差値の差が0.02というのは誤差の範囲ではないかとか、今時テレビのない家があるのかといった突込みがネットでは上がっているようですが、要するに理解力をつけるためにはいろんな経験が必要で、実際の現地や現物での経験の代わりとして、テレビやインターネットが有効である、ということだと思います。
私も塾講師のはしくれとして、テレビとの関係はよくわかりませんが、国語力とその生徒の”社会体験”といったものが関係すると感じることがあります。 いろいろなものを見たり聞いたり、多くの人と話したりといった経験の多い生徒の方が国語の成績が良いという傾向があるような気がします。 その意味で、実体験の代わりとしてテレビやインターネットが有効といのは納得出来ます。
しかし、ただ自由にテレビを見せたりインターネットを使わせたりすればよいかというと、そうではないような気がします。 昔はテレビは一家に一台。 チャンネルの数も限られていて、 子供は漫画を見たいのに時代劇やドラマや野球やプロレスを見せられて、結果としてそれがいろいろなものを見聞きするという経験につながったのではないでしょうか。
ところが現代では、テレビは一家に複数台あって、チャンネルも地上波以外にBS、CS、ケーブルテレビとたくさんあります。 さらにインターネットの動画配信や、なによりテレビゲームと、子供達には多くの選択肢があります。 選択肢が多いとその分多くの経験ができそうな気がしますが、逆に自分の見たいものだけを見て経験の幅を小さくしてしまう結果になっていないでしょうか。
テレビやインターネットは、地球の裏側や宇宙のはるかかなたの星の姿まで見せてくれるすぐれたツールですが、見たいものしか見ないといった使い方では宝の持ち腐れ。 まずはいろんなことに興味を持って、”ネットで調べてみよう”とか、”あの番組でやってるから見てみよう”、といった使い方ができればと思います。

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秋山 深雪(あきやま みゆき)

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