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2022.10.10

国語が最も重要

  夏休みには、小中学生を対象に夏期講習を行うのですが、その最後に学力テストを実施します。 その国語の問題文に共感するところが多かったので、引用してみます。

 テストは、"育伸社 8月度 小6A国語"。 原著は、"竹内薫「学年ビリから東大へ進み、作家になった私の勉強法」"です。

以下、引用文です。

 国語は重要です。 英数国の三つの言語のうち、しっかりと身につけるべき優先度がもっとも高いのが国語です。
 それは、「日本人たるもの、国語を大切にすべし」といった、精神論的な意味合いではありません。
 ノーベル賞受賞者が多い先進国や大国には、ある共通した特徴があります。 それは、自国の言葉、つまり母国語で高等教育(大学などの高度な学術的、専門的教育)が行われているということです。
 たとえば、英語を母国語とするアメリカやイギリスを除くと、フランスの高等教育はフランス語、ドイツはドイツ語で行われています。 また、ロシアも国外で活躍しているロシア出身者を含めて、ノーべル賞受賞者を数多く輩出していますが、やはり高等教育はロシア語で行われています。
 日本はいうまでもなく、日本語ですね。
 じつは、これは当たり前のことではないのです。
 世界的に見れば、母国語ではなく、英語で高等教育が行われている国も少なからず存在します。
 学生が母国語と英語の両方ができるバイリンガルであれば、それでも支障はないと思うかもしれませんが、そうとはいえないのです。
 バイリンガルとは、母国語と外国語の能力が同等である、という意味ではなく、原則的に母国語のほうが優位であり、母国語は完璧に身につけていなければならないということです。
 つまり、日本人のバイリンガルであれば、文法や語彙、敬語の使い方などすべてにおいて、日本語だけを話す同世代の日本人と同レベルの日本語能力を獲得していなければならないのです。
 そうでなければ、深い思考ができないからです。 ノーベル賞を受賞するような人たちは、ものすごく難しいことを考えていますが、そこで使っている言語は、やはり母国語です。
 ですから、母国語がしっかりしていないと、そもそも深く考えることができないのです。
 英数国の3言語のうち、まず根幹に置くべきは国語です。 国語は、それを使って考える「思考言語」です。 これを完璧にしておかなければ、まともに考えることすらできません。 そのうえで、英語でコミュニケーションがとれることが必要になります。
 2カ国語を話すバイリンガルはたくさんいますが、必ずどちらかの言語のほうが優位で、それが思考言語になっています。 日本で生まれ育った日本人の場合は、ほぼ確実に日本語が優位です。
 まず日本語を完璧にしたうえで、日本語で考えたことを瞬時に英語に変換したり、英語で入ってきた情報を日本語に変換したりする力を身につける、という順番になります。
 
引用は以上です。
 
 以前、バイリンガルとセミリンガル、つまり、バイリンガルを目指しながら、結局どちらも中途半端なセミリンガルになってしまう、というようなお話を書きました。 (”日常言語と学習言語”、https://am-akiyama.com/news/2022/139/) 上の問題文では、”思考言語”という言葉が使われていますが、以前出てきた、”学習言語”と同じものですね。
 ところで、”英数国の三つの言語”というのに違和感を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ”数学は言語じゃないだろう”、と思いますよね。 しかし私は、数学は世界の様々な現象、たとえば月や星の運行、気象、経済といったものを記述する、一種の言語だと考えています。 算数・数学の文章題で計算式や方程式を立てるという作業は、初歩的ですが日本語を算数・数学の言葉に翻訳することです。 そのためには、まず問題文の正確な理解が重要で、次に算数・数学が分かっていないといけないということになります。 つまりまずは国語が大切ということですね。 そんなことも含め、とても共感できる問題文でした。
 ということで、これからは算数・数学も含めて、バイリンガルならぬトライリンガルを目指しましょう!

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秋山 深雪(あきやま みゆき)

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