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2021.08.04

ヤバい!

英語関係のネットでこんな表を見つけました。

 

"good"も"bad"も"ヤバい"、 "many"も"little"も"ヤバい"、 これってホントに"ヤバ"くないですか? まあ、 少し面白おかしく書いている部分はあると思いますが、 オリンピック中継で、 "この選手、ほんとにヤバい!!"、 などと叫んでいる解説者を見ると、 "ヤバいのはあんたじゃないの?" とかつっこみたくなります。
 
タレントのケント・ギルバートさんは、 アメリカ人ですが日本語も堪能で、 ブログなども英語と日本語の両方で書くことが多いそうです。 その際、 通常はまず英語で書いてからそれを日本語に訳すのだそうです。 なぜかというと、 英語に比べて日本語の表現の自由度が高いので、 英語の内容を表す日本語を見つけることは比較的容易なのに対し、 日本語の表現をうまく伝える英語を探すのが難しいからだそうです。 たしかに、 語順にしても、 英語の場合、主語-動詞-目的語、 といった語順をを変えることは難しいですが、 日本語では助詞のおかげで語順は比較的自由です。 また、 同じ言葉でも、 漢字、 ひらがな、 カタカナのどれで書くかによって微妙なニュアンスの違いを表現できたりします。

我々年寄は、 若者が作り出す流行語や新しい表現を、 "乱れた日本語" として否定しがちですが、 言語というものは放っておくと次第に活力を失っていくもので、 外来語や新語・流行語は言語に活力を与えるものとして、 ある程度は必要なものだそうです。 しかし、 この"ヤバい"は、 活力を与えるどころか、 日本語の持つ豊かな表現力を大幅にスポイルしていると言わざるを得ません。
 
語彙力というのは直接的には表現力ですが、 同時に思考力でもあると思います。 複雑な概念について考えるとき、 その概念を表す言葉を知らなければ困難です。 人は、 自分の語彙力の範囲でしかものを考えることができないと思います。 なんでも、 "ヤバい" の一言で済ませてしまうような風潮は、 なんでも白か黒か、 敵か味方かといった単純化した思考と結びついているような気がします。 ひいては、 昨今言われる "分断" とも関係しているのではないでしょうか。
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秋山 深雪(あきやま みゆき)

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