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2021.01.26

文系の数学

書店で参考書を見ていたら、「文系の数学」という参考書を見つけました。 内容は基礎的な内容の詳細な説明と演習問題で、よくできた参考書だと思いましたが、「文系の数学」という題名には、出版社があの河合塾であることもあって、何か”受験のための最低限の数学”、といった印象を持ってしまうのは私だけでしょうか。

昔、「サイン・コサインなんになるぅ~♪」という歌がありました(分かる人は相当古い!)。 実社会に出たら数学なんか使わないし、入試科目にあるから仕方なく勉強するけど、できれば数学はパスしたい、そう思っている文系志望の受験生は多いのではないでしょうか。 しかし、本当に文系に数学は不要なのでしょうか? もちろん、経済学などでは数学を使う場面がある、という意味で必要とされることもありますが、それだけではありません。 数学を勉強するのには、「理論的思考を」を身に着けるという目的もあるのです。 実はこれ、NHKのチコちゃんの受け売りです。 私はこの番組を見た時に、「なるほどっ!」、と目からうろこが落ちる思いがしました。 そしてこのホームページの数学のコーナーでも、このことばを使わせていただいています。

放送の内容は下記のページ等に紹介されていますので、興味のある方はご確認ください。
https://xn--h9jua5ezakf0c3qner030b.com/11785.html
https://tmbi-joho.com/2020/09/18/chikochan-reg106-3/

 また。前回に引き続き池上彰さんの『社会に出るあなたに伝えたい なぜ、読解力が必要なのか? 』からの引用ですが、慶應義塾大学経済学部では従来は入試に数学が必須でしたが、1990年代前半に数学がいらないB方式という入試方式を導入したそうです。 この目的は何かというと、受験生の偏差値を上げるため、つまり、文系の生徒の場合、数学抜きの点数で偏差値を計算したほうが数値は高くなる場合が多いと考えられるので、全体として当該学部の受験生の見かけの偏差値が高くなるというわけです。

ところが、ふたを開けてみると、数学を受けずに入ってきた学生たちが講義についていけないという事態が発生してしまい、教授たちは頭を抱えたそうです。 さらに部活の話し合いなどの場面でも、「ものごとを論理的に考えられない」ことが見てとれるのだそうです。
一方で、早稲田大学の政経学部では2021年度、つまり今年の入試から数学が必須となりました。 学生の質を担保するための決定ではないかとされています。

 このように、数学は何かを計算するためだけではなく、「論理的に考える」ことを学ぶために必要なものです。 理系の生徒はいやでも数学は必要だし、多くの場合その先の人生でも数学とかかわる可能性が高いため、いわば自然に論理的に考えることが身につきますが、文系の人も、いや文系だからこそ、数学をまじめに勉強して、「論理的思考」を身につけてもらいたいものです。

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秋山 深雪(あきやま みゆき)

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